FUT3

本遺伝子はα1-3フコース転移酵素3 (FUT3)をコードしている。α1-3フコース転移酵素(α3FUT)は、FUT3、FUT4、FUT5、FUT6、FUT7、FUT9の６種類あり、それぞれ特有の基質特異性をもつことがin vitroで証明されている。これらはFUT7を除き、２型ラクトサミン構造（Galβ1,4GlcNAcβ1,3-R）のGlcNAc に、α1,3-結合でフコースを転移する活性をもつ。特にFUT3は、α1,3-フコース転移酵素活性だけでなくα1,4-フコース転移酵素活性（つまり1型ラクトサミン構造：Galb1-3GlcNAcb1-3-R、に対する活性）を併せ持っており、遺伝子多型解析によってルイス式組織血液型抗原の合成に必須であることが証明されている。また、シアリル化ラクトサミン構造（NeuAca2-3Galβ1,3GlcNAcβ1,3-RあるいはNeuAca2-3Galβ1,4GlcNAcβ1,3-R）のGlcNAc に、α1,3-結合でフコースを転移する活性も有しているためシアリルルイス抗原の合成にも関与する。特に、シアリルルイスa抗原はFUT3にのみ合成が可能である。このようにFUT3は多くのルイス式血液型糖鎖抗原（Lea, Leb, sLea, Lex, Ley, sLex）の合成に関与することが知られている。FUT3には多くの遺伝子多型が存在し、その中には活性がないものが存在することも知られている。