FUT10

本遺伝子はα1-3フコース転移酵素10 (FUT10)をコードしている。FUT10酵素はin vitroでの酵素活性の解析において、N-結合型糖鎖のコア構造(Man-GlcNAc-GlcNAc-Asn)のGlcNAcにalpha1-3 Fucoseを転移し、α1-3コアフコース構造を合成することが報告されている (主にアガラクトN-glycan上に転移する。２本鎖N-glycanに対しては若干活性が弱い) 。しかしながら、これらのα１−３コアフコース構造をもつN-結合型糖鎖のキャリア糖タンパク質は植物や昆虫では報告されているが、ヒトにおいてはまだ示されていない。一般的に活性の測定に使用されているような、短いラクトサミン基質 (short lactosaminyl acceptor substrates)には活性（いわゆるLewis x 合成活性）を示さない。一方、胎児の脳組織（cortical ventricular zoneや神経幹細胞）においては、バイセクトN-結合型糖鎖に属する糖鎖構造の非還元末端側に、Lewis x 構造 [Galb1-4(Fuca1-3)GlcNAc-R] を合成するであろうことが報告されている。